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第3期LMC育成プログラム第7回〜女性と助産師と社会構造〜開催報告 flower-icon

第3期LMC育成プログラムの最終回を1月7日に開催しました。【講師】古宇田千恵

冒頭共同代表の一人でもある古宇田さんがなぜ今この活動に続けているのか、その根底にある想いを率直に語られました。同じ女性として助産師さんに向けられたそのメッセージは、 研修生の方々の胸に突き刺さったのではないでしょうか。

 社会学の視点から、「現代社会の構造」についてナチス台頭の心理的メカニズムに触れ、ナチス体制に協力した人、しなかった人では何が違ったのかについて書かれた論文を用いて「独裁体制のもとでの個人の責任」について、「服従」と「支持」という表現を用いて鋭い指摘が投げかけられました。

 そして「支配/被支配」の構造というものは見えにくく、無自覚のうちに取り込まれないためにベースとして助産師であれば身に付けて欲しい視点について、くさの助産院の草野さんがそのような視点をどのように獲得していったかという体験談を交えながらお話されました。

 

 さらに産科医療の構造上ジェンダー規範に基づいた関係が強化されやすいという解説から、助産師が自発的に(自動的に)組織に支配されてしまう構造、助産師が自発的に(自動的に)妊産婦を支配してしまう構造へと話は発展していきました。

 最近日本でも聞かれるようになった「産科暴力(産科医療暴力)」には個人的なものもあれば、構造的なものもあり、一見すると暴力とは取られないようなものでも、女性の立場からすると暴力になるという話はすぐにでも日々のケアを見直すきっかけになったことと思います。

 ICMの助産ケアの哲学についても触れ、助産ケアは「女性の解放をもたらすものである」「非権威主義的なものである」という表現も、女性の「出産体験談」を思い出して頂ければ、それがおこるプロセスや背景をイメージできたのではないでしょうか。

 プログラムの中で繰り返し考えてきた助産哲学の実践をしていくことで、「支配/被支配の枠組みを壊していくことこそ、助産師の役割である」という力強いメッセージが最後に語られました。

 今回の講座で出産体験談を含む全ての座学は終了しました。この日は座学編終了にあたり、修了式も行われ企画メンバーから研修生の方に向けて花向けのメッセージが贈られました。既にスタートされておられる研修生の方々もおられますが、ここからは実践編で助産師哲学をご自身に落とし込み、文字通り実践していくことになります。女性中心やパートナーシップの構築のためには、支配/被支配の枠組みに取り込まれないよう、常に自己との対話を続けながら他者への想像力を働かせることを忘れずにいて欲しいと思います。