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第15回 ママのねオンライン勉強会開催報告と録画視聴のご案内 flower-icon

 7月30日(土) 第15回ママのねオンライン勉強会を開催致しました。

◎テーマ:
連続7回シリーズ:助産師としての信念に従うか、周りに流されるか
―海外の助産教育から考える≪この日本で助産師として生きる≫意味―

「女性と助産師のパートナーシップ~ニュージーランドの助産教育の根底にあるもの~」

*

現在録画視聴の申込を受け付けております。



ゲストは当会の共同代表でもある、ドーリング景子さん。

今年の2月に景子さんが翻訳され出版された、カレン・ギリランドさんとサリー・ペアマンさんによる研究論文

『女性と助産師のパートナーシップ 実践のためのモデル』の内容に沿ってお話くださいました。

景子さんがこの原本を初めて手に取ったのが2005年。その時から助産師として何か答えが欲しい時にはこの本のページを開くと、どこかに必ずその答えが見つかったと言います。

【哲学】

NZの助産哲学「助産とは、女性と助産師のパートナーシップである」については、第1回目のクラーク朋子さんからもお話がありました。日本でも「パートナーシップ」や「寄り添い」については大切だとされているけれど、ほんとうに哲学に基づいたかかわりができているのでしょうか?と景子さんから投げかけがありました。

【理念】

NZで提唱、実践されている真の「パートナシップ」とはどいういことかということなのか、その哲学的基盤や理論的基盤を踏まえながら、更に掘り下げてお話くださいました。その中で「共有」というキーワードでの中にあった、「責任を引き受けるのは女性の権利である」という言葉は、「対等」ということがどういうことであるかということが肚落ちしたお話でした。

【行動】

そういった、哲学、理念があるからこそLMC制度が実現したNZの実際について、助産師の働き方や、出産場所、教育についても改めてお話くださいました。

NZの助産師がやったことは、

女性の声に応え、女性と一緒に立ち上がり、女性一体になったことだとお話されました。

加えて、助産のプロフェッショナリズムについてのお話もありました。

助産師は助産師で助産師!

つまりは助産師は継続ケアをする人なんだという力強いメッセージです。

皆さまからの感想です(掲載可のもののみ)

●素敵な勉強会を企画してくださりありがとうございました。ここ2年程コロナ関連で助産師を離れて仕事をしており、自分がなぜ助産師をしているのかが分からなくなり、揺れていました。しかし、お話を聴く中で「助産師は助産師で助産師だ」という言葉や、「助産とは女性と助産師のパートナーシップである」ことの意味がジワジワと心に浸透していく感覚がありました。病院やクリニックで勤務していた時の違和感も明確になったので、もう一度、講義を振り返りながら助産師として自律し、女性の自律できる伴走者になりたいと感じました。ありがとうございました。

●私は、看護学と助産学を同時に学んでいる学生で、現在助産学実習をしているところです。
 景子さんのお話を聞き、改めて「自分の助産師観とは何か」を考えさせられました。また、その助産師観・助産師像を達成するにあたっての自身の行動がいかに伴っていないかを反省させられました。
 私自身、産婦さんのニーズに応えるケアをしたいという思いを持っていますが、実際に実習をしていると、いつの間にか自分中心のケアになってしまうことが多いです。そしてその背景には、何よりも今回のお話のキーワードにもなっていたパートナーシップ、その中でも双方が対等で、どちらも専門家という意識が薄いことが原因になっていると考えます。
 まだ半分以上実習期間が残っている現時点でこの事実に気づけたことは、私にとって非常に有意義なことでした。これを私が関わるすべての「母親」の持つ思いを達成するために還元していけるよう、日々自身の行動が及ぼす影響を考えながら、実習していきます。

●今回の勉強会を受けて助産師のあるべき姿、助産とは、という基本に立ち返り、助産師として女性に寄り添うことの大切さ、女性とパートナーシップを築き、対等な関係を築くことの大切さを強く感じました。
 1番印象に残った言葉は、助産師は女性と対等であり、女性についていくという言葉です。私自身この考えをもっと大切にしなければいけないと感じました。実習をみていると、どうしても医療従事者がケアを提供する側、妊婦がケアを受ける側というように見えてしまいます。病院では、助産院のように全てが女性主体にできないとしても、声かけ一つや接し方一つ意識するだけでも小さな変化はあると思うので、この考えを大切に後期の実習も頑張りたいと思いました。
 また、助産ケアには継続ケア、パートナーシップがとても重要だと学びました。普段授業で習っていることが、実際には実現できていないこと、いつのまにか根底にある大事なものを見失っていること、また、大切だとわかっていてもなかなか今の病院体制のなかで一人一人が自分の思うケアを発揮できていない現状があるとわかりました。1人の力を微力であっても、ひとりひとりの助産師が諦めるのではなく、声を上げていくことで制度は変えられるとわかりました。私も自分の考えを積極的に伝えられる助産師になりたいと思いました。

●いつもありがとうございます。母の立場で、女性が声をあげてきれていない、という認識があったのですが、なるほど、ちょっとした声でも、それを拾って、一緒に立ち上がって下さる医療者の方がいらっしゃれば、変わっていくんだな、と思いました。そして、助産や女性の問題だけではなく、国全体の歴史があるので、助産師さんだけが背負うのは、あまりにも酷だな、とも思いました。その中で何ができるか?ですね^^

◎登壇者プロフィール

ゲスト ドーリング景子さん

京都大学医学研究科 人間健康科学専攻先端広域看護科学講座 助教
出産ケア政策会議共同代表

助産師として,病院,診療所,助産所での助産活動や国際救援に従事したのち,
ニュージーランドで修士・博士学位を取得。女性と助産師の関係について研究を
行う。現在,助産教育に携わりながら,出産ケア政策会議にて女性,助産師ら仲
間と,継続ケアの推進など出産ケアを政策・制度から見直す活動を行なっている。